近年、スマートフォンの普及と共にWebtoon(縦スクロールコミック)が急成長を遂げています。Webtoon先進国として、革新的なビジネスモデルと卓越した人材育成で注目を集める韓国のWebtoon人材教育プログラムをご紹介します。
韓国におけるWebtoonの進化
Webtoonの発展の背景には、1990年代後半に韓国が直面したIMF金融危機があります。多くの漫画出版社が厳しい経営状況に追い込まれ、漫画家の発表の場が奪われていく中、ブロードバンド技術の普及と共に、個人がウェブ上で漫画を公開する環境が整備されていきました。その後、Webtoon配信サイトが有料モデルを導入したことをきっかけに、韓国のWebtoonビジネスは急速に拡大していったのです。
日本企業がWebtoon参入で直面した課題
韓国でのWebtoonビジネスの盛り上がりを受け、日本の企業も参入を試みましたが、以下のようなWebtoonへの認識不足により、なかなか足掛かりを掴めない状況にありました。
「単なる縦の漫画」という誤解
当初、Webtoonは単に紙の漫画を縦に並べたものと捉えられており、多くの日本企業が過去の漫画を切り貼りして再利用できると考えました。しかし、Webtoonは紙の漫画とは異なりスマートフォンでの閲覧に特化しているため、スクロールして読むことを前提とした企画や独自のストーリー構成が求められます。Webtoonを「漫画を縦にしただけ」と考え、過去の作品をそのまま縦スクロール形式に変換しただけでは、全く売れなかったのです。
短期間で変化するトレンド
Webtoonの読み方はTik Tokやインスタグラムを見ている感覚に近く、読者は流行に非常に敏感です。Webtoon上で求められるファッションやメイク、ストーリーのトレンドは短期間で変化するため、トレンドから外れた作品からは瞬時に読者が離れてしまいます。過去の漫画の切り貼りでは、Webtoon読者の心は掴めなかったのです。
金銭的コスト、時間的コスト
全編カラーのWebtoonを制作するには、一定のコストと時間を要します。一方で「待てば無料」モデルが中心のため、漫画に比べ投資回収に時間がかかります。Webtoon制作に必要な技術の習得や効率化への工夫なしではコストがかさみ、スタジオ運営の成否に大きな影響を与えます。
ソウル ウェブトゥーン アカデミーと日本企業間で起きていたミスコミュニケーション
ソウル ウェブトゥーン アカデミーは、韓国の大学でWebtoon教育に取り組んでいた教授陣が、より実践的で産業界に直結した教育を目指して設立した教育機関です。
日本でもWebtoonスタジオが増えていく中で、ソウル ウェブトゥーン アカデミー対する日本企業からの問い合わせは増加していきました。しかし、アイデアベースからなかなか実際の協業に進まないという事態に直面し、Culture Weaverが相談を受けたところ、日韓のビジネス文化の違い、「ビジネス」と「教育」という分野の違いから、ミスコミュニケーションが起きていたことが分かってきたのです。
課題解決に向けて、ソウル ウェブトゥーン アカデミーとCulture Weaverは、日本側のニーズに応えらえれるプログラム開発に乗り出しました。
Webtoon短期研修プログラム
上記の経緯を経てソウル ウェブトゥーン アカデミーとCulture Weaverが業務提携し開発したのが、日本企業向けWebtoon短期研修プログラムです。
「なぜ今まで失敗したのか?」が解消される体系的且つ実践的なプログラム内容
Webtoon短期研修プログラムは5日間という短期間ながら、Webtoonビジネス全体を俯瞰して学ぶ講義から、制作現場で活躍する作家による技法教授まで、様々な角度からWebtoonを解体するカリキュラムとなっており、Webtoon制作とスタジオ運営に必要な知識とノウハウを構造的に学べる場となっています。講義はソウル ウェブトゥーン アカデミーで活躍する講師陣が実施しますが、Culture Weaverにて日本市場向けに内容をアレンジの上、全て通訳・翻訳しますので、語学の心配は不要です。Webtoonビジネスにチャレンジしたい方や、作品制作の経験があるけれどうまくいかなかった、というお悩みを持つ方に特におすすめのプログラムです。
時代を超えた漫画文化の交流
前述のとおり、韓国でWebtoonが発展した背景には、金融危機による漫画家不遇の時代がありました。本プログラムの講師を務めるのは、その困難を乗り越え、漫画からWebtoonに舵を切って発展に尽力してきた人々です。長年日本の漫画を研究し、愛してきた講師にとっても、日本の漫画家や編集者に学びを提供できる機会というのは特別で、指導にはいつも以上に熱が入ります。時代を超え、国境を越えた漫画文化の交流が実現できる本プログラムは、参加者のみならず、ソウル ウェブトゥーン アカデミーにとっても価値あるものとして捉えられています。
実りあるプログラムにするためのマインドセット
本プログラムを最大限効果的にご活用頂くために、参加者の皆様には自ら積極的にアクションを起こして頂けるようお願いをしています。質問がある方は遠慮なく事前にお送り頂いて構いませんし、ご自身の作品を持参して講師に講評を依頼することも可能です。この場をいかに楽しみ、実践に活かせるかは、参加者お一人お一人のマインドセットによるところが大きいと感じています。是非、参加者同士の関係構築も含め、積極的に関わって頂けると大変嬉しく思います。
ソウル ウェブトゥーン アカデミーは、日本の出版社がWebtoon市場への参入を目指す上で、極めて貴重なリソースとなり得ます。現在、同アカデミーでは短期研修プログラムを定期的に実施しており、多くの参加者が現場の知識や実践的なスキルを身につけています。また、将来的には日本国内でのプログラム開催も予定されています。本プログラムを通じて韓国における最先端のノウハウを吸収し、Webtoonビジネスにご活用頂ければ幸いです。