【開催報告】第2回日本企業向けWebtoon短期研修プログラム

2024年3月3日(日)〜6日(水)の四日間にかけて、日本企業を対象とした「Webtoon短期研修プログラム」を行いました。昨年に引き続き、韓国のWebtoon専門教育機関である「ソウル ウェブトゥーン アカデミー(Seoul Webtoon Academy)との業務提携に基づいたプログラムです。

韓国のWebtoonスタジオを訪問するだけの、いわゆる「視察ツアー」は他でもありますが、体系的な知識の習得をなくして、漫画とは異なるWebtoon業界の方々と触れ合っても、芯を捉えたコミュニケーションは難しいのが現実です。一方で、どんなに人気の講座であっても、現地学生と同じ内容を受講するだけでは、日々現場で奮闘しているビジネスパーソンの要求に応えることはできません。

今回は、ソウル ウェブトゥーン アカデミーの人気講義を、日本のビジネスパーソン向けにさらにアレンジを加え、前回好評だった現地の「スタジオ訪問」と業界人たちとの「交流会」をそれぞれ1回ずつ増やしました。講義・スタジオ視察・交流会をバランスよく構成した結果、前回よりも増して、参加者の高い満足度を達成しました。

「Webtoonに関するビジネスから具体的な技法まで幅広い知識を得られるだけでなく、韓国企業との協業についても相談ができ、新たな道筋を見出すことができた。」「たった4日間の研修で、これほどまでの成果を得られるとは、期待以上のものになった。」「韓国での成功事例と失敗事例を論理的に理解することができ、自分たちのこれまでの試行錯誤に照らし、今後の方針が明確になった。」など、参加者からの熱いコメントが多く届いています。

開催概要に続いて、参加者からいただいたコメントを掲載しますので、ぜひご覧ください。

開催概要

期間:2024年3月3日(日)〜6日(水)
場所:ソウル ウェブトゥーン アカデミー(韓国ソウル)
研修費用:25万円(税別、渡航費・宿泊費・食費は含まず)

研修日程

 3月3日
(日)
3月4日
(月)
3月5日
(火)
3月6日
(水)
10:00〜12:00———【講義2】
スタジオ型作品の
企画開発及び
制作ラインの構築
【講義3】
Webtoon
スクロール演出の
特徴
【Q&Aセッション】
SWA講師陣
AK Communications
14:00〜17:00【講義1】
Webtoon
エコシステム
の特徴
【スタジオ訪問1】
JQComix
【講義4】
Webtoon
デジタルテクニック
【スタジオ訪問2】
KIDARI STUDIO
18:00〜20:00【交流会1】
企画
営業担当
【交流会2】
ストーリー
作画担当
【交流会3】
SWA講師陣
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講義内容と参加者コメント

プログラム全体について

ご参加いただいた皆さまより、プログラム全体についての感想をいただきました。

韓国のWebtoonに関しては、2018年頃に現地スタジオを訪問してある程度の知識があったが、今回の研修を通して、スタジオの状況も制作に対する考え方も、だいぶバージョンアップされており、改めて参加してよかったと感じました。
技術的な質問も相当させていただいたが、丁寧にお答え頂き感謝しております。4日間の濃い講義を受け、課題が多く見つかり、日本帰国次第、至急動き出したいと思います!ありがとうございました。

Webtoonの誕生から現在のトレンド変遷まで、順序立ててお話しいただき、一つ一つの講義が深い理解につながりました。スタジオに関しても、制作体制から技術的なお話まで、講義範囲も広く、Webtoonにこれからチャレンジする企業にもすでに制作経験を持つ企業にとっても、幅広い立場の方が参考にできる内容でした。
韓国の現場の方々との交流や質疑応答の時間を非常に多く確保いただけたことも、各社個別の状況に即した情報収集に繋がりました。
すぐに自社の制作体制の見直しや作品自体の改善に着手できる実践的な内容だったと思います!
一方で「Webtoonデジタルテクニック」(着彩)講義に関しては、光による見え方など、Webtoonというよりは美術講座のような内容も多く、講義形式だけでは理解が難しいように感じました。 技術講座として、切り離してより深く受講したい内容だと感じました。

久しぶりの海外、そして初めての韓国だったため、環境の違いやコミュニケーション面で不安を抱いていたのですが、平柳さんをはじめ、現地の講師陣や作家の方々も、一緒に参加した日本企業の皆さんにも、とても優しく接していただいたおかげで、のびのびと学びに集中することが出来ました。
事前に考えていた質問以外にもお話を聞く中ででてきた疑問や不明点にも即座に回答いただけたおかげで、弊社の抱える問題とそれに対する解決策などが沢山学べて嬉しかったです。韓国での制作体制・作画の流儀など、日本にも適応できる部分が多々あると思いますので、これから社内で浸透させていきます。
インターネット検索だけでは得られない現地の最新情報や深いお話がたくさん聞けて本当によかったです。スタジオ訪問では細かな作画データ作りに関する連携や技術面も拝見することができて貴重な機会をいただきありがとうございました。 4日間で得た貴重な情報や技術を活かし、まずは日本国内のWebtoon業界で今よりもっといい会社になっていけるよう成長していきますので期待して見守っていただけますと幸いです。

【講義1】Webtoonエコシステムの特徴

講師:パク・インハ(Seoul Webtoon Academy理事長、漫画評論家)
内容:Webtoonの発展過程と主な特徴に焦点を当て、新しいメディアとしてのWebtoonの特性やデジタルネイティブとの相互作用を解説。韓国で始まっている最新のトレンドや演出、作画的側面についても紹介しました。

これまで考えたことがなかった「媒体性」という観点から漫画とWebtoonの違いが整理され、この講義を通して、両者が全くの別物だということがよくわかりました。いままで自分の中で、なんとなくの違和感として抱えていた部分が、言語化され、はっきりと解消されたように思います。

韓国Webtoon市場を体系立てて学ぶことができました。日本からでも個別のニュースなどは情報収集できますが、今回の講義のように、体系的に整理された状態で知ることは難しかったので、新たな発見につながりました。
特に、社内で制作職に寄り添う立場として、この講義を受けて、今までWebtoonのセオリーとして自分の中にあった作画の知識を覆す、あるいは論理的な裏付けを持って再認識することができたことが嬉しかったです。「なぜこのような表現が用いられるのか」「今の自分達の制作に不足している点はどこなのか」という点について、理論立てて説明できるようになりました。すぐに実践できる学びを得ることができ、とても満足しております。

Webtoonがどのようにユーザーの日常に関わっているのか、どのような作品が売れるか、どのような絵作りをすれば受け入れられ易いのか、という点について、時代背景とともに学ぶことができたことに大変満足しています。なんとなく韓国でWebtoon市場がすごく大きくてビジネスチャンスがあるから〜といった曖昧な理由で事業を開始したので、このような根っこの重要な部分(なぜ韓国でWebtoonが活発になったのか?)が学べたのはとても良かったです。

【交流会1】企画/営業担当

交流会会場

初日の交流会はWebtoonビジネスやスタジオ運営をテーマに、複数の韓国Webtoonスタジオから、プロデューサーやチーム長などのマネジメント層や、プラットフォームと相対する営業担当などを招きました。

連日講義終了後に、その日に学んだテーマに沿った交流会を開いていただいたので、講義で疑問に感じたことも、その日に質問が出来たので、頭の整理が進みました。

韓国でWebtoonが成功する秘訣や作家が多い理由を知ることができました。また、日本でも韓国の作家と一緒にお仕事をするチャンスがありそうなことがわかり、未来が楽しく感じました。

Webtoonの販売戦略や制作プロセスの上流工程について、実際に現場で働く方々からお話が聞けて満足しております。韓国の現状をお話いただいた上で、「では日本ではどうするのか?」についても、意見交換ができたことはとても貴重でした。

【講義2】スタジオ型作品の企画開発及び制作ラインの構築

講師:イ・ジョンギュ(JQ Comix代表)
内容:JQ Comix代表イ・ジョンギュ氏により、Webtoon読者の現在のトレンド、市場の動向、そしてスタジオ運営における制作費と収益構造の関係について解説。

韓国スタジオの成功例と失敗例について、大変生々しい話を聞くことができました。自社の課題に一番近い内容であり、韓国スタジオとの比較を俯瞰し、現実的な改善方針を見つけることができ、大変満足しております。 一般的に講義というと、汎用的な内容をイメージすると思いますが、イ先生には具体的な数字や制作体制の詳細を紹介していただき、得るものがとても多い講義でした。

一概にWebtoonスタジオと言っても、いくつかの異なる成り立ちで出来上がっており、それぞれの特徴を詳しく教えてもらったことは、経営者として非常に興味深かった。

キャラの作り方における注意点や、作画面での視点固定に関する情報は、すぐに反映していきたい部分だと感じました。「サイダー」などの直感的で伝わり易い表現をたくさん知ることができ、勉強になりました。

【スタジオ訪問1】JQComix

講義に続いて、Webtoonスタジオ「JQComix」を訪問し、スタジオベースの制作システム(分業体系)とその運営ノウハウの詳細を共有しました。

制作スピード、スタッフの技量、Webtoonに対する造詣の深さが、弊社と比べ物にならないくらい高い水準だということが実際の現場を見て、よくわかりました。我々もWebtoonをもっと見て研究しないとダメだと痛感しました。

どんな質問に対しても丁寧に答えてもらい、また現場の方々も細かい部分まで説明いただいたので、よく理解できました。体制づくりや現場管理など、うちでも取り入れられることが沢山あったので実践したいと感じました。

スタジオの雰囲気を感じることができ、講義で伺ったお話を肌感覚を持って理解できました。とても雰囲気の良いスタジオで、当社もこのような環境づくりをしたいと強く感じました。現場で制作をされている方に直接お話を聞けたことも貴重でした!

弊社も制作スタジオの体制に関して試行錯誤を繰り返している最中のため、JQCOMIXさんから得た情報を元に、メンバーやチームの構成を考えていきたいと思いました。 素材に関する知識もすごくためになりました。

【交流会2】ストーリー/作画担当

二日目の交流会は、複数のWebtoonスタジオからアートディレクターや、個人作家を招き、Webtoon制作の現場に重心をおき、参加者たちと意見を交わしました。

1日目とはまた違い、弊社で作ったデータも見ていただきながら、私たちならこうするという点を理論的に説明してもらい、満足しております。今まで作ってきたものが完成形ではなく、さらに進化させていく必要性がある点を理解したので、早速作り直して見比べたいと思います。

交流会では自分の立場に一番近い役職の方(PD)にお会いすることができ、 講義では取り扱えない細かくリアルな問題を直接伺えたことに満足しています。 日韓で共通している課題も多く、共感を持って意見交換ができました。

こちらの交流会では実際に作家さん、PDの方に失敗しないための極意を教われたのが大きかったです。 コンテの重要性・コンテ作家の教育を頑張っていかねばと思いました。

【講義3】Webtoonスクロール演出の特徴

講師:ソン・インス(SideB 代表)
内容:自身がWebtoon作家であると同時にスタジオ向けの企画コンサルタントも行うソン・インス代表が、Webtoonのスクロール演出に関する特徴を解説。Webtoonのストーリーテリング手法と演出技術に焦点を当て、日本の漫画演出との違いを確認しました。

日本の漫画の良いところなども交え説明してくださり、とても分かりやすかったです。半面を縦にしてカラーリングをする案件もあるのですが、それがまさにWebtoonの黎明期あたりのやり方と似ていたので、考え方をアップデートできました。

日本の漫画に対する研究がベースにしっかりされていること、その上に、Webtoonがどうやったら視覚的に入ってくるのかというロジックについて、見事に言語化されていて、分かりやすく説明してもらえました。早速、社内のメンバーにもそのように説明して理解を広めたいと思いました。

日本では出版漫画に慣れている作家の方が多く 「Webtoonっぽい」作品を作りづらいことが課題の一つとしてありましたが、 その原因と改善策を具体的に学ぶことができました。視線誘導の話を理論的にお伺いすることができ、現在の自社作品に反映できることも多く、得るものが多い講義でした。

こちらの講義では今まで弊社が作ってきた作品ではNGなことばかりしていたことに気づくことが出来ました。出版漫画の作り方に引っ張られ、左右にジグザク視線誘導していたり、コマを斜め切りにしたり小さめコマを使用することが多く…反省点が多かったです。 現場にはすぐに可読性の重要度を示し、具体的なコマ作りや吹き出しの配置などの改善をこれから行なっていこうと思いました。

【講義4】Webtoonデジタルテクニック

講師:チョン・イェリ(Studio YELL 代表)
内容:カラーリングとエフェクト工程を専門に扱うStudio YELLのチョン・イェリ代表が、Webtoon制作におけるデジタル技術の応用について解説。ジャンルや場面に応じた様々な後処理技術について、Studio YELLが実際に担当してきたWebtoon作品事例を通じて、具体的に紹介しました。

Studio YELLのノウハウは、今回の弊社が参加した一番の目的だったので、とても参考になりました。
スピードの速さとレベルの高さには驚きました。うちの目指す指標になりました。

見せていただいたデータのレイヤー構成を見るに、仕上げ工程が最適化され、無駄がないと感じました。
一方で、エフェクトでめちゃくちゃ色を調整されている様子が見えましたので、設定された色がどうとかよりも、最終的な完成度が大事なんだなと改めて感じました。
作品ごとの「標準化」については、弊社でも取り組んでみたいと思います。

専門的なお話を伺うことができ、制作職にとっては密度の濃い講義内容でした。
データの中身を細かく見るだけでなく、その場でチョン先生が作業を再現していただいたのが、とてもわかりやすかったです。
エフェクトの動きつけや画面上で何を重視するかなど、メイキングと合わせて学ぶことができ、ぜひ自社の制作メンバーにも聞いてほしい内容だと感じました。ただ、制作職でない参加者にとっては、難しい内容だったかもしれません。一つの作品においての制作フローやメイキングの詳細を伺うか、課題又は自身のある自社作品をお送りしてレビューをいただくなど、個別具体的なお話ができるとより講義において得るものが大きいように感じました。

陰影と光の演出、エフェクトのコツなど細かくメイキングを通して教えていただけてとても参考になりました。 クオリティの高いものを大量に作っていくためには少しずつ教育していくことが必要だと痛感しました。

【交流会3】SWA講師陣

今回プログラムの講義を担当した講師をはじめ、韓国Webtoon業界の関係者を招き、日本企業参加者との交流を行いました。

作家との関係性や、リソースの確保など スタジオの制作体制に特化したお話が伺えて満足しております。コミュニケーションの取り方など、講師陣のスタジオで実際に行なっている施策がとても参考になりました!

7つの光源の向きの研修で理論的に教育することで、間違いの訂正が容易になる点は、今後の人材育成にも取り入れたいと思いました。 作家や現場メンバーのモチベーション維持については、現在完全リモートで稼働している弊社にとっても深刻な問題だったので、やはり直接顔を合わせる機会を作ることの重要性に改めて気付かされました。

ずっと迷っていたり悩んでいたところが解消されました。実際に弊社で作成したデータを見ていただいたり、既存のWebtoonでどうやっているのかわからないところを相談でき、大変勉強になりました。

当社が制作した「ページ漫画からWebtoon化した作品」を見てもらい、修正点を指摘いただきました。さらにユーザーが読みやすく、それに合わせて見せ方を変化していった韓国の事例について、まだまだ自分たちが気づいていない点も多く、もっとWebtoonを読まないといけないと考えさせられました。

【Q&Aセッション】

質疑応答に加え、参加者が制作した作品に対する講師からのレビューも行いました。また、冒頭では、長年、日本の漫画作品を韓国で翻訳出版してきたAK Communicationsの李社長に登壇いただき、日韓の架け橋をしてきた視点から、日本で作られたWebtoon作品によく見られる特徴や韓国展開のポイントなどをお話しいただきました。

事前に質問をまとめていただいたので大変満足しました。改めて時間をとってもらえたことで、整理をしながら、追加の質問が出来たのでよかったです。

自社で作成した作品について、全体的な講評をいただくことができ、大変ありがたかったです! 今後の制作につなげたいと思います。

講義の中ではできなかった質問もあったので、 別個で質疑応答のお時間をとっていただけたことは大変有り難かったです。 今までの講義内容を踏まえた上で、回答を聞いたことで、こちからもより詳細な追加質問ができ、課題の本質に迫った解決につながりました。

Webtoonで成功が期待できないジャンルやトピックについて、かなり具体的に知ることができ、助かりました。 女性キャラの性格について、日本と韓国でこれほど違いがあるとは、大きな学びになりました。 カット数の差に関しても、ご指摘の通り、いかに週刊体制を続けられるか、という壁にぶち当たった際に、真っ先にコマ数の削減に動いてしまっており、それが韓国市場のトレンドと逆行していることにも気づけてよかったです。また、コマ数が多くなくてもできる工夫も勉強になりました。他にもファンタジー作品であっても現代のトレンドをキャラクターに盛り込む工夫はこれまであまりできていなかったので、改善したいです。

【スタジオ訪問2】KIDARI STUDIO

KIDARIさんの美しい塗りのヒントを得ることができ、大変うれしかったです。

以前来た時とは変わりスタジオの大きさにはびっくりした。
この大きさが、Webtoonの盛り上がってる結果だと思うと、ワクワクしてやる気が出ました。

大手のスタジオを見ることで、大変ポジティブな刺激を受けることができました。 自社とは規模が違うので、真似できないこともありましたが、プラットフォームを運営する企業だからこそ持っている webtoonのノウハウも聞くことができ、今後の自社webtoon制作に前向きに挑むことができそうです。

私自身BL作品が大好きなので、とても夢があるなぁと感じました…。 日本でも推し活文化が大変賑わっているため、週末のストアイベントですごい額の売り上げが出ているのもイメージがしやすかったです。やはり女性の趣味へかけるお金の額はすごいのだなと実感しました。 社内見学はもちろん、スタジオエムのマネージャーさんの貴重なお話もたくさんきけて大満足でした。

次回の研修プログラムに関しては、こちらのフォームからご連絡ください。