04 現地パートナーとの連携で広がる国際展開

需要が拡大し続けている漫画市場において、日本のコンテンツ供給力不足は深刻な課題になりつつあります。人口減の加速化に伴い、日本の漫画家人材が一層不足していくことが予想される中で、頼もしいパートナーとなっていく国々についてご紹介します。

台湾

台湾では既にレベルの高い漫画作品が生まれており、日本の漫画業界にとっての重要な供給元になることが期待されています。台湾の漫画の特徴は、日本の漫画と同様に縦読みの吹き出しで表現されるという点です。世界各国の漫画を見比べても、吹き出しの中に縦書きの文字が並び、目線が右上から左下に流れる構成は日本と台湾しかありません。

台湾では既にレベルの高い漫画作品が生まれており、日本の漫画業界にとっての重要な供給元になることが期待されています。台湾の漫画の特徴は、日本の漫画と同様に縦読みの吹き出しで表現されるという点です。世界各国の漫画を見比べても、吹き出しの中に縦書きの文字が並び、目線が右上から左下に流れる構成は日本と台湾しかありません。

さらに魅力的なのは、台湾における漫画表現の自由度の高さです。いくつかの国や地域では、BL作品やアダルト作品は宗教や文化上の理由から規制されていますが、台湾ではオープンに受け入れられています。日本では修正が入るようなエロティックなシーンを含む作品でも、台湾では無修正での発表が可能です。

また、漫画家の育成や支援のための施策が台湾政府主導で積極的に展開されている点も見逃せません。官民一体となって漫画業界を盛り上げ、牽引する姿勢は、台湾における漫画業界のさらなる成長に向けた推進力となるでしょう。そんな台湾では、日本の漫画作品の人気が非常に高く、市場の95%を占めているとも言われます。日本の漫画への高い理解度と熱量を持った作家やファン達による同人誌イベントも数多く開催されており、交流がしやすい環境が整っていることも大きなメリットです。

韓国

韓国はWebtoon発祥の国です。Webtoonを漫画の競合とする見方もありますが、Culture Weaverはソウル ウェブトゥーン アカデミー(Seoul Webtoon Academy)との協業を通じて日本企業向けの研修を実施してきた経験から、漫画とWebtoonは補完関係にあると考えています。

Webtoonはスマートフォンでの閲覧を前提として作られているため、漫画ほど内容やボリュームのある作品は生まれづらく、隙間時間にサクサクと読める作品が好まれます。このような特性から、Webtoonが競合するのは漫画ではなくTik TokやYouTubeのショート動画や縦型ショートドラマなのです。

一方で「漫画でハマったジャンルをWebtoonでも気軽に読みたい」「Webtoonで見たものを漫画でしっかり読みたい」という読者ニーズは存在しており、それぞれの特性と制作方法の違いを理解した上で補完し合うことが可能なのです。

スマートフォンユーザーの関心をいかに動画から漫画に移行させるかという業界全体の課題に対応していく意味でも、韓国とWebtoon事業で協業することは今後より一層重要になっていくでしょう。

インドネシア

インドネシアは何十年も前からアメリカン・コミックス(アメコミ)制作のカラーリング業務を受注してきた歴史があります。アメコミが求める高い基準に応えながら磨かれてきた腕は、近年では同じく分業制をとるWebtoonの制作現場でも幅広く活躍しています。

国内に多くの優秀な人材を擁する一方で、インドネシアの漫画市場を席巻しているのはやはり日本の漫画です。インドネシアの本屋を覗けば、目に入る漫画は日本人に馴染みの深い作品ばかり。世界で活躍するカラーリスト達の多くが日本の漫画を読んで育ち、日本漫画への理解とリスペクトを持っています。

アメリカ、韓国との豊富な協業経験と高い技術を持つだけでなく、日本の漫画への理解が深いというバランスの良さが、インドネシアの強みです。

フランス

漫画に携わるビジネスをする上で、この国無しには何も語れない―それほどまでに、漫画業界にとって重要な国となったのが、日本に次ぐ世界第2位の市場規模を誇るフランスで、その市場は直近10年間で4倍にも拡大していると言います。

フランスには元々「バンド・デシネ」と呼ばれるフランス発祥の漫画が存在し、アメコミ、日本の漫画と並ぶ三大コミック産業のひとつとして発展してきました。既に漫画大国だったフランスで、日本の漫画がこんなにも愛されるようになった背景には、1980年代から始まった日本のアニメ放送があります。テレビで連日放送されるアニメに子ども達は夢中になり、一大ムーブメントを巻き起こしました。その後、日本のアニメを見て育った世代を中心に日本の漫画にも注目が集まったことで、現在に繋がる熱狂的な日本漫画ファン、日本漫画を愛する漫画関係者達が生まれていったのです。

フランスの漫画熱を加熱させるのは民間セクターのみではありません。フランス政府が若者の芸術活動の促進を目的に2021年に導入を開始した「カルチャー・パス」の制度で最も恩恵を受けたのは書籍で、全体の半数以上を占めているのは日本の漫画の販売だというのです。

フランス出版社との連携を戦略的に考える上で、日本の漫画を翻訳出版するための「チャネル」としてのみ捉えるのか、あるいは、日本の漫画への高い理解度とリスペクトを活かしたオリジナル作品も生み出すことができる「パートナー」として捉えるかで、10年後に見える景色が大きく異なるはずです。

各国との連携に関するご相談

Culture Weaverは上記でご紹介した各国のパートナーとの連携を深め、日本の出版社にご活用頂ける事業を展開しております。各国との協業内容については、こちらからご確認頂けます。お力になれることがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。