社内で海外展開専門チームを作るためには、どのような人材が必要なのでしょうか。
これまでCulture Weaverが海外展開を支援する中で培ってきた経験から、チームに必要なメンバー像と人材育成についてご説明します。

語学力の必要性と外国籍人材の登用
近年、AIによる通訳・翻訳ツールが大きな進化を遂げていますが、海外関連機関との交渉や日々のやり取りのためには最低限の語学力が必要です。
語学習得には一定の時間を要します。社内に適任者がいない場合は、展開先の外国籍人材を活用することも一案です。仮にWebtoonの展開を目指すならば、漫画に関心のある韓国の若手スタッフがいれば、業界トレンドや最新の情報収集、交渉時のビジネスマナーや文化理解を含め、心強い戦力となるはずです。

基本を徹底する
海外専門チームに若手やバックグラウンドの異なる人材を登用する場合に留意したいのが、日本流のビジネスルールやマナーの教育です。海外担当部署だからと言って、初めから海外のルールを前提として業務を進めてしまうと、途中で自身の立ち位置を見失ったり、方向性を誤ったりするリスクになり得ます。
日本の法律、業界の慣習、マナーを含め十分に理解し、「自分はどの方向を見てビジネスをするのか」「順守すべきことは何か」という基本的なことをチームで共有・徹底できる体制構築が重要です。
著作権理解の重要性
特に著作権の考え方は国によって異なるため、細心の注意が必要です。日本においては、基本的に作品の著作権を持つのは作家自身です。作家が出版社に対しライセンスを許諾して初めて作品を海外に届けることができるという「川上からの川下への流れ」を、まずは自社のチームメンバーで徹底的に意識しましょう。さらに、海外の取引先に対しては日本の常識を不躾に押し付けることなく、丁寧に説明、理解してもらうことが重要です。
ミスコミュニケーションはなぜ生まれるのか?
国によってマナーや価値観が異なることは当たり前のように聞こえますが、それぞれの「常識」を理解、尊重し合うということは、言葉以上の難しさがあります。Culture Weaverのコンサルテーションや研修では、双方の「違い」を理解するためのコツと心構えをお伝えしています。

説明時によくご紹介するのが「ホフステードの6次元モデル」です。異文化理解のフレームワークとして知られる同モデルの中に「不確実性の回避度」という指標があります。「曖昧な状況や未知の状況に対して脅威を感じる度合」を示すこの指標において、日本人は非常に高い度合を示すとされ、規則やルールの徹底、構造化された環境を求める傾向にあることが分かります。
例として、「あなたはこの仕事をできますか?」「できます」という簡単なコミュニケーションを思い浮かべて下さい。双方の「不確実性の回避度」の違いが期待値と実績にギャップを生み、「できると言ったのに」「できているじゃないか」というミスコミュニケーションを招いてしまうことは想像に難くありません。
Culture Weaverが目指す人創り
「違いを知る、理解する」ということは相手に歩み寄ることだけではなく、自らの考えや価値観に新たな刺激や喜びをもたらすことでもあります。グラスの乾杯一つにしても、フランスではしっかりと目と目を合わせますが、韓国では目上の人に対しては杯を隠すことをご存じでしょうか。
海外展開においては、想定外の壁に直面することがあるかもしれません。それでも、その壁を乗り越えて協業を成し遂げた先に待っている「乾杯」は、きっと格別なものになるに違いありません。
「世界で活躍するための人材チーム」には、許諾頂いたライセンスや法を徹底遵守するという基本姿勢を保ちながら、相手との相互理解の上に事業を成立させるという高度なスキルが求められます。
国境を越えた市場を俯瞰し、相対的に物事を判断できる人材。そんな未来のリーダー達の育成を、Culture Weaverはサポートしてまいります。