韓国ソウルにあるWebtoon専門学校「ソウル ウェブトゥーン アカデミー(Seoul Webtoon Academy)」との業務提携に基づき、日本企業向けの短期研修プログラムを開発し、第1弾の日程を完了しました。参加者の満足度が非常に高く、第2弾に向けた検討を行っております。
開催概要
期間:2023年5月11日(木)〜15日(月)
場所:ソウル ウェブトゥーン アカデミー(韓国ソウル市)
参加社数:日本の出版社や制作スタジオなど計6社
研修日程
5/11 (木) | 5/12 (金) | 5/13 (土) | 5/14 (日) | 5/15 (月) | |
10:00〜13:00 | 授業2 | 授業4 | 授業5 | Q&A セッション | |
13:00〜14:00 | 受付 | クロージング | |||
14:00〜17:00 | 授業1 | 授業3 スタジオ訪問 | Q&A セッション | 授業6 | |
17:30〜19:30 | 懇親会1 | 懇親会2 |
講義内容と参加者コメント
授業1:Webtoonエコシステムの理解(パク・インハ)
Webtoonの発生と変化を通じて、Webtoonの主な特徴について考える。新しい媒体性、新しい読者であるデジタルネイティブとの相互疎通という観点から解説。演出や作画的側面のトレンドも含めて講義を進める。
韓国の歴史(出版漫画自体が廃業になったなど)を、一番最初に伝えていただいたおかげで、その後の全ての講義でも「これは韓国の歴史的背景独自のことかもなあ」みたいな考え方をすることができました。 全体的に、全ての講義の土台になる話が出てきており、1つ目の授業として、とてもよかったと思います。(歴史、相互作用、トラフィック、ユーザー層、webtoonトレンド、ディスプレイ特性、IPなど)
個人的には授業1に最も感銘を受けました。そもそもwebtoonって何なんだ?なんでこれが人気なんだ?とこれまでの日本出版業界で仕事する上で、このコンテンツの発生した背景やどういった性質を持つものであり、どのような人々にどういった形で受け取られているか…など疑問に感じていたものを体系的にわかりやすく説明いただきました。様々な具体例もあげるなどしてとても丁寧な講義でした。まず、webtoonというコンテンツと向き合うために必要としていた自身の姿勢の背骨になるような部分を作っていただけたように感じます。
授業2:スタジオ型作品の企画と開発(イ・ジョンギュ)
Webtoonプロダクションの企画、制作と収益構造について、Webtoonスタジオ「JQComix」を運営するイ・ジョンギュ代表から、現時点のWebtoon読者の主要トレンドを授業1に続いて深掘りする。また、ビジネスの側面から投資される制作費と収益構造についても解説する。
韓国でのスタジオの状態、プラットフォームとの関係や企画がどう進行していくのかという概要をわかりやすい形で講義いただき、知識として欲していた箇所をしっかり埋めていただたと思います。大枠については認識していた部分もありましたが、企画やストーリー構造、求められる要素などを端的にわかりやすくあげていただき、自身が韓国webtoonを読んだときに感じていたクセや部分について、確信が得られて安心しました。
具体的な話も多く、スタジオ&プロデューサーとしては聞いていて一番面白く勉強になりました。よくかけているイラストとwebtoonで好まれるイラストは異なる、作家が好きな絵と読者が好きな絵は違う、という話が一番印象的で納得感がありました。
授業3:製作ラインの構築と運営システム(イ·ジョンギュ)/JQComix訪問
Naver Webtoonの関係会社であるJQComixを訪問し、現場スタッフと直接コミュニケーションしながら、スタジオシステムで最適化された製作システム(分業体制)について触れる。運営システムの主要特徴と主要事項についてイ・ジョンギュ代表をより確認を行う。
実際に制作している方から話を聞けたのが、大変貴重でした。あとやはり、現場の雰囲気を感じられたのも大きかったです。日本のwebtoonスタジオであそこまで作家が出社しているところはないと思うので、自分達がやろうとしたらどんな感じになるのか?を肌で感じられたことが良かったです。みなさんコミュニケーションスキルも高く、とても素晴らしかったです。
分業制が具体的にどうなのか、気になっていたところがわかってよかった。
授業4:グローバルプラットフォームのビジネス現況(イ·ジェミン)
韓国Webtoon情報プラットフォーム「Webtoonインサイト」のエディターでありウェブトゥーン評論家であるイ・ジェミン氏に世界規模で動くWebtoonプラットフォームビジネスの最新現況を聞く。
韓国ビジネスプラットフォーム全体を見てのトラフィックやその中でのwebtoonの働きという題材として知りたい内容を講義いただいたので、満足しております。
懇親会1
パク·インハ、イ·ジェミン、ソン·ジサン、イ·ジョンギュ(JQコミックス代表)、キル·セナレ(Daewonメディアストーリー作チーム長)、キム·ヒョングク(ソミメディア本部長)を招き、Webtoonスタジオのマネジメントメンバーと個別相談の機会を設ける。
対話をしながら色々お話ができて、とても良かったです。実際に最前線で作っている方からのお話は貴重でした。 日本の漫画を愛している方も多く嬉しかったですし、だからこその葛藤やそれを乗り越えた経緯、韓国ならではの文化など非常に勉強になりました。
授業5:Webtoonスクロール演出最適化(チェ·ホチョル)
Webtoon制作において最も特徴的と言えるスクロール演出をSWAでメンターを務めるチェ・ホチョル氏に聞く。 出版漫画の演出では存在しなかったスクロール演出の核心を確認し、Q&Aを進める。
作家もされていた先生の飛びぬけた非常に素晴らしい描画技術を拝見できたことに感動しました。正直webtoonという範囲以上、オーバースペックすぎる技術者の方でしたので、むしろ描画経験のない方々がこの講義をそのまま受けてしまうと「漫画家はみんなこれできるんだ」と思ってしまいそうで恐怖でもありました。 資料も細かく、様々な絵コンテ割を意図と合わせて考える方法論を教えていただき、webtoonだけでなく紙漫画、または動画コンテンツでも活かせる知識があったと感じます。 先生の技術と、魂を込めた構図錬成術に心から感動しました。いいものを見せていただき、ありがとうございます…。
授業6:Webtoon制作におけるデジタルソースの活用(イ·ジョンボム)
Naver Webtoonで<ドクターフロスト>を連載したイ・ジョンボム氏にWebtoon制作で活用されるデジタルソースの多様な事例を直接確認し、Q&Aを進行する。
デジタル技術を活用しようというそもそもの制作スタンスに改めて感動しました。日本は割と新しい技術を使い始めることに抵抗がある気がしていて、「やろうと思えばこういう発想もあるんだ」と、純粋に感動しました。 日本の読者、海外の読者に喜んでもらえるようにもっともっと色々な施策を試そうと思います。 個人的には、自社でやってみたい面白そうな施策をすでに試されていたので、非常に面白かったです。
これまでのwebtoonでどんなテクニックが生まれてきたか、またその背景についてもわかりやす教えていただき、この研修期間中一番「webtoon現役作家さん」としての目と体感を感じられてよかったと思います。リアルな作家さんのwebtoonの捉え方と、そこで生き抜いていく心構え、気持ちの変遷などを知ることは今後webtoon作家と付き合っていく中で非常に参考になるなと感じました。
懇親会2
パク·インハ、イ·ジョンギュ、ソン·ジサン、ウェブトゥーン作家:イ·ジョンボム(Naver「ドクターフロスト」作家、JQコミックスCOO)、パク·ヘソン(Naver「楽郷文辞典」連載)、チョン·ヒジン(カカオなど多様なWebtoonプロジェクト参加)らを招き、作家も交えた個別相談の機会を設ける。
先生や作家さん、クリエイターの方と直接細かい部分の話までくだけた形でお聞き出来てよい時間をいただきました。通訳の方を通さないと会話ができないので、自身の言語能力の点で悔しくはありましたが、日本語OKの作家さんもいらしていたのはとても助かりました。 話し込みすぎてうまく全体を回れなかったのは少々悔しいところでした。
作家というだけでなく、韓国の若い子たちの価値観などを知れて、日本との違いを理解できてよかったです。
Q&Aセッション
各セッションでは、授業時間中に質問しきれなかったことや事前に準備してきた確認事項について、たっぷりと時間を確保して、疑問を解いていく。
色々とインプットをしたことを、一度ここで整理できるのが良かったです。それぞれに詳しいかたに来ていただけたのも良かったです。授業後のQ&A含めてですが、結構正直に?、ぶっちゃけた感じで内情を教えていただき、とても参考になりました。
しっかり質疑応答の時間を作っていただき、ほかの日で聞き逃していたことなども改めてお伺いできたりと、非常に良い時間割をいただいたと思います。ありがとうございます!
自分で気づけなかった視点の質疑応答も多々あり、確かにそれ知っておきたいやつ!というものが出てきて非常に助かりました。ご参加のみなさんの気になってる部分を聞けること自体にも価値を感じますし、それに対して現在の韓国業界として回答いただけることは知識として満足度が高かったです。
ネットでは探すことが難しい韓国のWebtoon業界について理解を深められた
全体を通した参加者の感想
今回は素敵な研修の企画、実施をいただき本当にありがとうございました。 韓国のwebtoon業界は、研究と試行錯誤を繰り返し、極めて左脳的にモノづくりをされており、個人的にとても良いなと思いました。講義を通じて、すぐに活かせそうなことを非常に多く得られたと思います。 日本で何もわからないながらにwebtoonを作り続けておりましたが、このタイミングで答え合わせ&新たなインプットをできた気がして、すごく良かったです。 (逆に、これからwebtoonを作る方というよりかはすでに作っている人でないとなかなかモノにできない話も多かったのかなあと予想されます。想像ですが) 自分達の作品が売れた暁には、今回の企画のお話もしたいですし、みなさんと一緒に喜びたいです。(頑張ります!) 最後に、講義をしていただいた先生方、見学したスタジオの作家さん、SWAの生徒さん、ソンスにいる人たち、皆さん非常に暖かく迎え入れていただき、安心した気持ちで研修に集中できたこと、非常に感謝しております。ありがとうございました!
まず初めに、今回の研修を実現してくださり、心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました!業界内で「で、どう?御社webtoonは」と会うたびに話に出るコンテンツでありながら、ではそれが実際成功した状況は何だったか…そもそもこいつの正体は何なのか?と謎だらけでwebtoonは幽霊のような存在だったのですが、今回の研修を通じてついに正体を現したな!という感触が得られ、可視化と体感できたのを感じました。参加して本当によかったです。 ある意味、知らなくても作業としては制作に携わり、実際に進行することは可能ではあるのですが、取り組む上でそれが本場ではどういう存在であるかを知ることで、やはり姿勢と意識に大きく変化が出たと感じます。 他のご参加者の方々でも熱量や学習意識の高い方がおり、その方々と交流することも非常に勉強になることばかりでした。交流しやすい環境や雰囲気も作っていただいたからこそだと感じますので、研修を実施するにあたって動いていただいた方皆様に感謝するばかりです。本当にありがとうございました。 また、研修外の部分にはなりますが渡航にあたってのおすすめ便や入国に対しての事前のサポート・ご連絡なども初海外一人出張だった自身にとって、とても心強く助かりました。 現地での観光や、食事についてもサポートや情報共有をいただき、とってもとっても助かりました。 研修期間中、講義内容も交流もすべてが勉強になることばかりで、熱量の高い関係者の方々とも接することができ、非常に刺激的でした。研修外の観光などでもサポートいただき、しかもそういった少し自由な時間もとれるような時間割をうまく設定いただき、すべての面で大満足の体験でした。こんなにいいことづくしの研修なんてあっていいのか…と感動しております。 とてもありがたい研修に参加する機会をいただき、誠にありがとうございました!