近年、漫画業界から熱い視線を向けられているのが台湾のオリジナル漫画です。10年程前まで「海外漫画」と言えばアメコミかバンド・デシネだった日本の出版業界においても、台湾の漫画の認知度は格段に高まっています。
台湾政府が仕掛けた「CCC」と「超台湾」2019ニコニコ超会議
台湾における商業出版業界の成長は、官民が一体となって積み上げてきた成果だと言えるでしょう。2009年に創刊され、途中休刊期間を経てリニューアル復刊したコミック雑誌「CCC(Creative Comic Collection)創作集)は、中央研究院數位文化中心(中央研究院デジタル文化センター)と民間の出版社である蓋亞文化らの協働のもと誕生しました。CCCは新鋭漫画家と読者との橋渡し役であり、台湾オリジナル作品の創成期を支えてきた重要なプラットフォームです。
また、2019年には台湾文化部が「『超台湾』2019ニコニコ超会議」と銘打ったイベントを開催し台湾文化を発信すると共に、「CCC創作集」シリーズの漫画単行本の日本語版や、台湾のクリエイターによる出版物、グッズ等の販売を行い、知的財産としての台湾コミックスの認知度向上を後押ししました。
台湾の漫画業界を牽引する「蓋亞文化」の次なる狙い
台湾人作家によるオリジナル作品を最も多く出版し、台湾の漫画業界を牽引する存在として知られるのが「蓋亞文化(ガイヤ ウェンファ)」です。業界のさらなる成長を目指して蓋亞文化が取り組むのは、現地オリジナル作品の海外展開の促進、そして台湾における台湾オリジナル漫画読者層の拡大です。この課題解決に貢献するため、Culture Weaver内に蓋亞文化にとって初の海外拠点となる「蓋亞文化東京オフィス(蓋亞文化東京辦公室)」を設立する運びとなりました。
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より多くの台湾作品を日本へ
世界の漫画市場が拡大する中で、日本の国内作品だけでは供給が間に合わないという状況を受け、日本の出版社はこれまで多くの台湾オリジナル作品を翻訳出版してきました。今後、蓋亞文化東京オフィスでは、台湾で日本語版を制作し、電子コミックとして直接日本の読者に届けるというビジネスモデルの確立を目指していきます。従来のように日本の出版社を通すことなく、台湾側で作品の選定、翻訳を行うことで、台湾の漫画を直接輸出し、読者に届けることが可能になります。
日台同時連載の狙い
現状、台湾の漫画市場の95%を占めるのは日本の漫画です。台湾の若者が関心を寄せるのは、自国のオリジナル漫画ではなく日本の漫画。こうした状況を逆手に取って、蓋亞文化東京オフィスでは、日本の編集部と台湾の漫画家がタッグを組み、日本市場向けに最適化した漫画を「日本と台湾で同時連載する」というプロジェクトを推進しています。
これまで、台湾では高い画力を誇るクリエイターが多数活動している一方で、定期連載を支える漫画編集の環境が日本のように整備されていないという課題を抱えてきました。本プロジェクトを通じて、台湾の漫画家は日本の連載スピードに合わせ、日本の漫画市場に向けて創作するという、一連の経験を積むことが可能です。
同時出版された作品が「台湾の漫画家による日本式で作られた漫画」として台湾国内で広まることで、他の台湾オリジナル作品にも注目度が高まることが期待されます。
本プロジェクトは台湾政府との連携のもと実施しており、台湾政府主導のもと作家が選定されています。協業先となる日本の出版社の選定については蓋亞文化東京オフィスが窓口となりますので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
蓋亞文化東京オフィスが繋ぐ新たな連携
いまや、日本の漫画業界は世界各国の漫画業界に大きな影響力を持っています。今後、台湾オリジナル作品が日本市場に進出するためには、双方の出版社間の連携が鍵となります。蓋亞文化東京オフィスが窓口として機能することで、台湾の出版社から日本の出版社へのアクセスを容易にし、連携の活性化に繋がることが期待されます。
また、台湾オリジナル作品にご関心のある日本の出版社にも、是非蓋亞文化東京オフィスを有効活用頂ければ幸いです。台湾オリジナル作品の保有数、出版数が最も多い蓋亞文化との連携は、新たな作品や作家の発掘、ビジネス機会の創出に繋がるでしょう。蓋亞文化東京オフィスは、台湾と日本の懸け橋として、様々なニーズに応えながら双方のエンターテイメント産業の成長に貢献してまいります。