About Us

様々な文化を色鮮やかな糸に見立て、それらを編み合わせることで新しい布を作り出す機織りのような役割になりたい―「Culture Weaver」という社名には、そんな想いが込められています。Culture Weaverが漫画業界で果たしていく役割と、創造していく価値についてお伝えします。

01
漫画で世界を繋ぐ、世界で漫画を創るCulture Weaverの挑戦

なぜ、今「海外展開」が必要なのか?

日本の漫画は今や世界中にファンを抱え、漫画市場は業界史上最高の盛り上がりを見せています。一方で、国内の人材不足、海賊版電子コミックスの蔓延、Webtoonをはじめとする新たな漫画形態の急成長など、時代の流れと共に多くの変化が起きています。変化をチャンスに変え、継続的に成長していくために漫画出版社に求められることは、海外展開を視野に入れたプロアクティブな姿勢であると考えます。

Culture Weaverの海外展開支援

Culture Weaverは、これまで培ってきた漫画ビジネスノウハウと、国内外の漫画出版関係者と構築してきたネットワークを最大限活用し、日本と世界を繋ぐ橋渡し役として、成長と新天地開拓を目指す日本の出版社の海外展開を支援致します。

Coordination

  • 日本の出版社と海外関連機関とのマッチング
  • マッチング成立後の海外プロジェクト遂行管理支援

Consulting

  • 漫画出版社における海外事業部の立ち上げ/組織強化の支援
  • Webtoonスタジオ向けの制作アドバイザー

Education

  • Webtoonプロデューサー/ディレクター等の育成
  • 漫画家/漫画編集者等の育成

Networking

  • 国内外のネットワーキングイベント、カンファレンスの企画・運営・サポート

Joint Projects

  • 漫画プラットフォーム「Mangas.io」のコミュニケーション支援(Mangas.io/フランス)
  • 蓋亞文化東京オフィスの運営(蓋亞文化有限公司/台湾)
  • 漫画及び縦スクロールコミックのカラーリングサービス(KOSMIK/インドネシア)
  • 日本企業向けWebtoon短期研修プログラム(Seoul Webtoon Academy/韓国)

上記のサービスを通じ、「これまでなかった海外担当部署を新規設置できた」「海外出版社との事業連携に結びつき、ビジネスを拡大できた」等、具体的な成果を実現しています。

Culture Weaverのコンサルティングサービスは、必要に応じた契約期間をご指定頂くことも、プロジェクト単位でご活用頂くことも可能です。漫画業界に精通した海外展開のプロを「一時的に」社内チームに入れるということで、社内人事への影響が無い点も活用頂きやすいポイントです。「漫画×海外」に関するあらゆる課題、お困りごとについて、お気軽にご相談下さい。

日本を世界の漫画の中心地に

産業構造が変化し、若者が減りゆく日本において、世界と戦える漫画ビジネスの成長は国の未来を支える重要な要素です。今、日本の漫画は世界の漫画市場を席巻しているように見えます。しかし、世界で日の目を見ているのは、業界エコシステムのトップ層にある作品であり、業界全体を考えると成長の余地はまだまだ残されているのです。

そのひとつの手段がCulture Weaveにて支援する海外展開ですが、現状では日本の出版社が海外に出向き新規開拓していくケースが主であり、予算と人的リソースが限られる中小出版社にとっては不利な状況が生まれています。

Culture Weaverは、多様なステークホルダーとの連携のもと、日本が「世界の漫画の中心地」としてプレゼンスを発揮できる環境づくりを目指しています。例えば、東京に世界の漫画業界の「ハブ」を生み出し、世界中から関係者が集う場になれば、企業規模や認知度に関係なく日本の漫画関係者がよりフェアに世界と繋がり、成長していくことができるでしょう。日本を中心とした世界の漫画業界のさらなる成長を目指し、Culture Weaverは今後も挑戦を続けます。

楽しむ、面白がる、未来を創る

Culture Weaverは、代表社員である平柳が日本国内向けの電子コミック関連企業で海外事業部門をゼロから立ち上げた経験を基礎として、これまで日本、台湾、韓国、インドネシア、フランス各国の信頼できるパートナー及び関連機関と共に、数多くの事業共創を実現してまいりました。

漫画というエンターテイメントビジネスに携わる中で大切にしていることは、全てを面白がり、楽しむ姿勢です。漫画を心から愛し、「仕事をするように遊ぶ、遊ぶように仕事をする」を体現する仲間と共に挑戦してきた過程で得た経験、知識、ネットワーク全てがCulture Weaverの財産です。これまで培ってきた財産を価値に換えて出版業界へ還元することで、業界内で好循環を生み出していきたいと考えます。

Culture Weaverは、海外展開支援やネットワーキング支援を通じて、日本と世界を繋ぐ架け橋としての役割を果たしてまいります。皆様との出会い、そして共により良い未来を共創できることを楽しみにしております。

02
漫画出版社の海外展開を支えるパートナー

日本の漫画に対する国際的な関心の高まりに伴い、海外展開は日本の漫画出版社がビジネスをスケールしていく上で鍵となる戦略です。一方で、「海外展開に向けた体制が整備されていない」「思うような成果が上がらない」といったお悩みも多数寄せられています。

出版社が海外展開を目指す際に考えられる選択肢について、まずは以下をご参照下さい。

Culture Weaverと仕掛ける“能動的”アプローチ

上記では、海外展開に際し支援を行うパートナーのひとつとして、エージェントについて述べています。「漫画出版社の海外展開を支える」という共通の役割を持つCulture Weaverとエージェントの明確な違いは、そのプローチの方法です。

エージェントが基本的に海外からのオファーに応じて諾元出版社と許諾先出版社の仲介役・代理人を務めるという受動的なアプローチをとるのに対し、Culture Weaverは出版社内の海外担当部署の一員として、能動的なアプローチをとることが可能です。

Culture Weaverがご提供するサービス例
  • ご要望に応じた頻度での定例会参加
  • 海外展開に向けた戦略策定、課題の洗い出し、対応策の提案及び実施支援
  • 海外展開を担う次期リーダーの人材育成

Culture Weaverは、「先方からの打診案件にどう対処するか」という突発的な受け身の対応ではなく、「会社として海外展開をどのように仕掛け、遂行していくべきか」という長期的戦略を見据えた上で具体的なアクションをご提案し、共に実行してまいります。

出版社が自力で海外展開を実現、継続していくために伴走できることがCulture Weaverの強みであり、日本で唯一と言える海外展開コンサルティングサービスの所以です。

また、韓国、台湾、フランス、インドネシアをはじめとする海外パートナーを複数有し、各国のビジネス文化や言語に精通するCulture Weaverならではの支援として、海外出張や展示会への同行、ミーティングへの参加、各国で留意すべきレギュレーションやビジネスマナー、商談の進め方に関するアドバイス等も可能です。自社の人材が自ら海外市場を切り開くために必要なノウハウと、きめ細やかなコンサルテーションを提供致します。

真に必要なパートナーを選ぶために

エージェントが魚を獲ってきてくれる役割だとすると、Culture Weaverは魚の獲り方を造船や網作りなどから含めてお伝えする伴走者の役割であるとお考え下さい。

エージェントに任せた場合、通訳・翻訳や契約交渉等、多岐に渡る業務を一手に任せることが可能である一方、自社の組織強化には至らないかもしれません。

Culture Weaverにご依頼頂く場合、人材育成も含め海外展開に必要なノウハウを社内に蓄積可能という利点がある一方、社内で海外担当部署を育てるためには、経営陣と現場の覚悟が求められます。

「自社で全て対応できるか分からない」「一部だけエージェントに依頼したいが、業務の切り分けが困難」といったお困りごとについては、Culture Weaverがエージェントの活用方法をお伝えすること、あるいは社内担当者としてエージェントとのコミュニケーション窓口になることも可能です。両者の特性をご理解頂き、自社のニーズや状況に応じて効果的にご活用頂くためのお手伝いができれば幸いです。

03
世界で活躍するための人材チーム作り/海外展開専門チームの編成とその役割

社内で海外展開専門チームを作るためには、どのような人材が必要なのでしょうか。これまでCulture Weaverが海外展開を支援する中で培ってきた経験から、チームに必要なメンバー像と人材育成についてご説明します。

語学力の必要性と外国籍人材の登用

近年、AIによる通訳・翻訳ツールが大きな進化を遂げていますが、海外関連機関との交渉や日々のやり取りのためには最低限の語学力が必要です。

語学習得には一定の時間を要します。社内に適任者がいない場合は、展開先の外国籍人材を活用することも一案です。仮にWebtoonの展開を目指すならば、漫画に関心のある韓国の若手スタッフがいれば、業界トレンドや最新の情報収集、交渉時のビジネスマナーや文化理解を含め、心強い戦力となるはずです。

基本を徹底する

海外専門チームに若手やバックグラウンドの異なる人材を登用する場合に留意したいのが、日本流のビジネスルールやマナーの教育です。海外担当部署だからと言って、初めから海外のルールを前提として業務を進めてしまうと、途中で自身の立ち位置を見失ったり、方向性を誤ったりするリスクになり得ます。

日本の法律、業界の慣習、マナーを含め十分に理解し、「自分はどの方向を見てビジネスをするのか」「順守すべきことは何か」という基本的なことをチームで共有・徹底できる体制構築が重要です。

著作権理解の重要性

特に著作権の考え方は国によって異なるため、細心の注意が必要です。日本においては、基本的に作品の著作権を持つのは作家自身です。作家が出版社に対しライセンスを許諾して初めて作品を海外に届けることができるという「川上からの川下への流れ」を、まずは自社のチームメンバーで徹底的に意識しましょう。さらに、海外の取引先に対しては日本の常識を不躾に押し付けることなく、丁寧に説明、理解してもらうことが重要です。

ミスコミュニケーションはなぜ生まれるのか?

国によってマナーや価値観が異なることは当たり前のように聞こえますが、それぞれの「常識」を理解、尊重し合うということは、言葉以上の難しさがあります。Culture Weaverのコンサルテーションや研修では、双方の「違い」を理解するためのコツと心構えをお伝えしています。

説明時によくご紹介するのが「ホフステードの6次元モデル」です。異文化理解のフレームワークとして知られる同モデルの中に「不確実性の回避度」という指標があります。「曖昧な状況や未知の状況に対して脅威を感じる度合」を示すこの指標において、日本人は非常に高い度合を示すとされ、規則やルールの徹底、構造化された環境を求める傾向にあることが分かります。

例として、「あなたはこの仕事をできますか?」「できます」という簡単なコミュニケーションを思い浮かべて下さい。双方の「不確実性の回避度」の違いが期待値と実績にギャップを生み、「できると言ったのに」「できているじゃないか」というミスコミュニケーションを招いてしまうことは想像に難くありません。

Culture Weaverが目指す人創り

「違いを知る、理解する」ということは相手に歩み寄ることだけではなく、自らの考えや価値観に新たな刺激や喜びをもたらすことでもあります。グラスの乾杯一つにしても、フランスではしっかりと目と目を合わせますが、韓国では目上の人に対しては杯を隠すことをご存じでしょうか。

海外展開においては、想定外の壁に直面することがあるかもしれません。それでも、その壁を乗り越えて協業を成し遂げた先に待っている「乾杯」は、きっと格別なものになるに違いありません。

「世界で活躍するための人材チーム」には、許諾頂いたライセンスや法を徹底遵守するという基本姿勢を保ちながら、相手との相互理解の上に事業を成立させるという高度なスキルが求められます。

国境を越えた市場を俯瞰し、相対的に物事を判断できる人材。そんな未来のリーダー達の育成を、Culture Weaverはサポートしてまいります。

04
現地パートナーとの連携で広がる国際展開

需要が拡大し続けている漫画市場において、日本のコンテンツ供給力不足は深刻な課題になりつつあります。人口減の加速化に伴い、日本の漫画家人材が一層不足していくことが予想される中で、頼もしいパートナーとなっていく国々についてご紹介します。

台湾

台湾では既にレベルの高い漫画作品が生まれており、日本の漫画業界にとっての重要な供給元になることが期待されています。台湾の漫画の特徴は、日本の漫画と同様に縦読みの吹き出しで表現されるという点です。世界各国の漫画を見比べても、吹き出しの中に縦書きの文字が並び、目線が右上から左下に流れる構成は日本と台湾しかありません。

さらに魅力的なのは、台湾における漫画表現の自由度の高さです。いくつかの国や地域では、BL作品やアダルト作品は宗教や文化上の理由から規制されていますが、台湾ではオープンに受け入れられています。日本では修正が入るようなエロティックなシーンを含む作品でも、台湾では無修正での発表が可能です。

また、漫画家の育成や支援のための施策が台湾政府主導で積極的に展開されている点も見逃せません。官民一体となって漫画業界を盛り上げ、牽引する姿勢は、台湾における漫画業界のさらなる成長に向けた推進力となるでしょう。そんな台湾では、日本の漫画作品の人気が非常に高く、市場の95%を占めているとも言われます。日本の漫画への高い理解度と熱量を持った作家やファン達による同人誌イベントも数多く開催されており、交流がしやすい環境が整っていることも大きなメリットです。

韓国

韓国はWebtoon発祥の国です。Webtoonを漫画の競合とする見方もありますが、Culture Weaverはソウル ウェブトゥーン アカデミー(Seoul Webtoon Academy)との協業を通じて日本企業向けの研修を実施してきた経験から、漫画とWebtoonは補完関係にあると考えています。

Webtoonはスマートフォンでの閲覧を前提として作られているため、漫画ほど内容やボリュームのある作品は生まれづらく、隙間時間にサクサクと読める作品が好まれます。このような特性から、Webtoonが競合するのは漫画ではなくTik TokやYouTubeのショート動画や縦型ショートドラマなのです。

一方で「漫画でハマったジャンルをWebtoonでも気軽に読みたい」「Webtoonで見たものを漫画でしっかり読みたい」という読者ニーズは存在しており、それぞれの特性と制作方法の違いを理解した上で補完し合うことが可能なのです。

スマートフォンユーザーの関心をいかに動画から漫画に移行させるかという業界全体の課題に対応していく意味でも、韓国とWebtoon事業で協業することは今後より一層重要になっていくでしょう。

インドネシア

インドネシアは何十年も前からアメリカン・コミックス(アメコミ)制作のカラーリング業務を受注してきた歴史があります。アメコミが求める高い基準に応えながら磨かれてきた腕は、近年では同じく分業制をとるWebtoonの制作現場でも幅広く活躍しています。

国内に多くの優秀な人材を擁する一方で、インドネシアの漫画市場を席巻しているのはやはり日本の漫画です。インドネシアの本屋を覗けば、目に入る漫画は日本人に馴染みの深い作品ばかり。世界で活躍するカラーリスト達の多くが日本の漫画を読んで育ち、日本漫画への理解とリスペクトを持っています。

アメリカ、韓国との豊富な協業経験と高い技術を持つだけでなく、日本の漫画への理解が深いというバランスの良さが、インドネシアの強みです。

フランス

漫画に携わるビジネスをする上で、この国無しには何も語れない―それほどまでに、漫画業界にとって重要な国となったのが、日本に次ぐ世界第2位の市場規模を誇るフランスで、その市場は直近10年間で4倍にも拡大していると言います。

フランスには元々「バンド・デシネ」と呼ばれるフランス発祥の漫画が存在し、アメコミ、日本の漫画と並ぶ三大コミック産業のひとつとして発展してきました。既に漫画大国だったフランスで、日本の漫画がこんなにも愛されるようになった背景には、1980年代から始まった日本のアニメ放送があります。テレビで連日放送されるアニメに子ども達は夢中になり、一大ムーブメントを巻き起こしました。その後、日本のアニメを見て育った世代を中心に日本の漫画にも注目が集まったことで、現在に繋がる熱狂的な日本漫画ファン、日本漫画を愛する漫画関係者達が生まれていったのです。

フランスの漫画熱を加熱させるのは民間セクターのみではありません。フランス政府が若者の芸術活動の促進を目的に2021年に導入を開始した「カルチャー・パス」の制度で最も恩恵を受けたのは書籍で、全体の半数以上を占めているのは日本の漫画の販売だというのです。

フランス出版社との連携を戦略的に考える上で、日本の漫画を翻訳出版するための「チャネル」としてのみ捉えるのか、あるいは、日本の漫画への高い理解度とリスペクトを活かしたオリジナル作品も生み出すことができる「パートナー」として捉えるかで、10年後に見える景色が大きく異なるはずです。

各国との連携に関するご相談

Culture Weaverは上記でご紹介した各国のパートナーとの連携を深め、日本の出版社にご活用頂ける事業を展開しております。各国との協業内容については、こちらからご確認頂けます。お力になれることがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

05
作品だけではない、漫画家育成ノウハウの世界展開

日本の漫画業界が数々のトップ作品を輩出し、世界に認められてきた背景にあるのは、同人活動、書店での販促活動、翻訳、電子プラットフォーム等、漫画に携わる人々による巨大なエコシステムの存在です。このエコシステムの層の厚さと裾野の広がりこそが、日本の漫画の強さの源泉なのです。

Culture Weaverは、業界全体の成長に向けた一翼を担うべく、全ての層に対する国際化支援を目指してあらゆる関係機関との連携を推進しています。

日本のエコシステムの広がりを示す一例として、国内の漫画家育成と、海外へのノウハウ展開の事例をご紹介致します。

漫画家育成で挑む地方創生

2023年4月、熊本県立高森高等学校で日本の公立高校で初となる「マンガ学科」が新設されたニュースは記憶に新しく、業界内でも驚きと喜びをもって迎えられました。過疎化が深刻な地域で廃校寸前だった高森高校に「マンガ学科」が設立されたことで、「漫画を学びたい」と全国から高森町に生徒が集ったのです。

設立にあたっては高森町、出版社、県教育委員会、高森高校の4者間協定が締結され、町には学生寮が整備される等、地域の活性化にも繋がっていきました。

高森高校の「マンガ学科」設立は、自治体と官民連携が一丸となって取り組んだ象徴的な事例であり、漫画の特に若い世代に対する訴求力、ポテンシャルの高さを表しています。同科で学ぶ学生の中から1人でも世界レベルの漫画家が輩出され、高森町で漫画家を描き続けることができれば、その経済的恩恵は地域と漫画家を目指す若者達に還元されていくはずです。漫画の力は、地方創生の文脈でも大いに活用できる可能性を秘めています。

人材発掘のために自ら国境を越える

大阪総合デザイン専門学校は、多くの職業漫画家を生み出しているトップ校のひとつです。漫画業界に限らず、今や日本のどの学校でも、学生数を確保するために留学生のリクルーティングが欠かせません。大阪総合デザイン専門学校は、留学エージェントに頼るだけでなく、職員自ら直接現地に赴き、各国の学校と直接コミュニケーションを取りながら、未来の漫画家となる学生の発掘に尽力されています。

世界には、日本で漫画を学びたい若者が数多くいることでしょう。しかし、その中で「プロの漫画家になる」ことを目指し、努力し続けることができる人材はどれくらいいるのでしょうか。大阪総合デザイン専門学校が重視するのは、学生の能力だけでなく「本気度」と「覚悟」です。現地での積極的なリクルーティング、そして日本での連載環境に適した人材の輩出を目指した独自カリキュラムが、優れた漫画家育成に繋がっているのです。

未来の漫画家が挑む、イラスト・漫画コンテスト

未来の漫画家育成の起爆剤ともなっているのが、大阪総合デザイン専門学校が主催する国内外でのコンテストです。Culture Weaverは、台湾で行われる「台日學生原創插畫漫畫大賽(台日学生オリジナルイラスト・漫画コンテスト)」の運営に携わっています。

台湾在住の大学生を対象としたイラスト部門と漫画部門、高校生を対象としたイラスト部門と漫画部門という4つの部門から構成される本コンテストでは、1000通以上の応募作品の中から部門毎に最優秀賞作品が選出されます。最優秀作品賞受賞者は大阪総合デザイン専門学校への短期留学の権利が与えられ、実際に漫画やイラストの授業を受講することが可能です。

表彰式及び作品展示会では、日本と台湾間の文化交流やコミュニケーションの場として活用頂くための工夫を凝らしています。2024年3月に開催した第4回目の表彰式では、アーティストによるライブドローイングや、台湾作家と日本編集者の対談を通じて、参加者に二国間の漫画文化の違いに触れて頂きました。また、表彰式後には日本への留学を望む学生達に向けたセミナー及び個別相談会を設け、台湾の学生をサポートしています。

「第4回台日学生オリジナルイラスト・漫画コンテスト」表彰式及び作品展示会の様子はこちらのVlogからご覧頂けます。https://youtu.be/BxAg82VLwdA?si=SYp6eH2wL8DQZRLX

日本の漫画教育が国外に与える影響

台湾では既に多くのハイレベルな作品が多く生まれている一方で、大阪総合デザイン専門学校のように体系的な漫画教育のノウハウの蓄積には至っていないのが現状です。その背景には、まだ発展途上にある台湾の漫画産業において職業漫画家の地位が日本のようには確立されておらず、漫画家育成のための教育価値が見出されていないといった実情があります。

今回ご紹介した事例のように、日本のノウハウを共有して海外の漫画産業の活性化に貢献することは、教育を含む日本の漫画エコシステムの価値向上と、世界の漫画業界全体の活性化に繋がるでしょう。

台日学生オリジナルイラスト・漫画コンテストは、今後地域や参加校を拡大して運営していく方針です。漫画教育関係者の方はもちろんのこと、漫画出版に関わる多くの方に人材発掘、文化交流のプラットフォームとして活用頂ければ幸いです。

台湾の漫画業界関係者へ向けたメッセージ

Culture Weaverは、台湾と日本における漫画交流の一端を担ってきたという自負と、今後も両国の懸け橋として役割を果たしていく覚悟を持っています。

これまで台湾の漫画業界に携わる関係者の皆様とご一緒する中で、ビジネス価値を生み出す作品として昇華できていないという編集者、出版社の方の歯がゆい想いを、我がことのように感じてきました。

国内だけで解決に至らない課題があれば、是非日本を含む外部の力を活用頂き、共に漫画業界の発展に貢献していけることを願っています。漫画業界で共に未来を創っていく近隣の友人として、Culture Weaverは今後も日本と台湾の懸け橋として貢献してまいります。

06
韓国における縦スクロールコミック人材の教育プログラム

近年、スマートフォンの普及と共にWebtoon(縦スクロールコミック)が急成長を遂げています。Webtoon先進国として、革新的なビジネスモデルと卓越した人材育成で注目を集める韓国のWebtoon人材教育プログラムをご紹介します。

韓国におけるWebtoonの進化

Webtoonの発展の背景には、1990年代後半に韓国が直面したIMF金融危機があります。多くの漫画出版社が厳しい経営状況に追い込まれ、漫画家の発表の場が奪われていく中、ブロードバンド技術の普及と共に、個人がウェブ上で漫画を公開する環境が整備されていきました。その後、Webtoon配信サイトが有料モデルを導入したことをきっかけに、韓国のWebtoonビジネスは急速に拡大していったのです。

日本企業がWebtoon参入で直面した課題

韓国でのWebtoonビジネスの盛り上がりを受け、日本の企業も参入を試みましたが、以下のようなWebtoonへの認識不足により、なかなか足掛かりを掴めない状況にありました。

「単なる縦の漫画」という誤解 

当初、Webtoonは単に紙の漫画を縦に並べたものと捉えられており、多くの日本企業が過去の漫画を切り貼りして再利用できると考えました。しかし、Webtoonは紙の漫画とは異なりスマートフォンでの閲覧に特化しているため、スクロールして読むことを前提とした企画や独自のストーリー構成が求められます。Webtoonを「漫画を縦にしただけ」と考え、過去の作品をそのまま縦スクロール形式に変換しただけでは、全く売れなかったのです。

短期間で変化するトレンド 

Webtoonの読み方はTik Tokやインスタグラムを見ている感覚に近く、読者は流行に非常に敏感です。Webtoon上で求められるファッションやメイク、ストーリーのトレンドは短期間で変化するため、トレンドから外れた作品からは瞬時に読者が離れてしまいます。過去の漫画の切り貼りでは、Webtoon読者の心は掴めなかったのです。

金銭的コスト、時間的コスト 

全編カラーのWebtoonを制作するには、一定のコストと時間を要します。一方で「待てば無料」モデルが中心のため、漫画に比べ投資回収に時間がかかります。Webtoon制作に必要な技術の習得や効率化への工夫なしではコストがかさみ、スタジオ運営の成否に大きな影響を与えます。

ソウル ウェブトゥーン アカデミーと日本企業間で起きていたミスコミュニケーション

ソウル ウェブトゥーン アカデミーは、韓国の大学でWebtoon教育に取り組んでいた教授陣が、より実践的で産業界に直結した教育を目指して設立した教育機関です。

日本でもWebtoonスタジオが増えていく中で、ソウル ウェブトゥーン アカデミー対する日本企業からの問い合わせは増加していきました。しかし、アイデアベースからなかなか実際の協業に進まないという事態に直面し、Culture Weaverが相談を受けたところ、日韓のビジネス文化の違い、「ビジネス」と「教育」という分野の違いから、ミスコミュニケーションが起きていたことが分かってきたのです。

課題解決に向けて、ソウル ウェブトゥーン アカデミーとCulture Weaverは、日本側のニーズに応えらえれるプログラム開発に乗り出しました。

Webtoon短期研修プログラム

上記の経緯を経てソウル ウェブトゥーン アカデミーとCulture Weaverが業務提携し開発したのが、日本企業向けWebtoon短期研修プログラムです。

「なぜ今まで失敗したのか?」が解消される体系的且つ実践的なプログラム内容

Webtoon短期研修プログラムは5日間という短期間ながら、Webtoonビジネス全体を俯瞰して学ぶ講義から、制作現場で活躍する作家による技法教授まで、様々な角度からWebtoonを解体するカリキュラムとなっており、Webtoon制作とスタジオ運営に必要な知識とノウハウを構造的に学べる場となっています。講義はソウル ウェブトゥーン アカデミーで活躍する講師陣が実施しますが、Culture Weaverにて日本市場向けに内容をアレンジの上、全て通訳・翻訳しますので、語学の心配は不要です。Webtoonビジネスにチャレンジしたい方や、作品制作の経験があるけれどうまくいかなかった、というお悩みを持つ方に特におすすめのプログラムです。

時代を超えた漫画文化の交流

前述のとおり、韓国でWebtoonが発展した背景には、金融危機による漫画家不遇の時代がありました。本プログラムの講師を務めるのは、その困難を乗り越え、漫画からWebtoonに舵を切って発展に尽力してきた人々です。長年日本の漫画を研究し、愛してきた講師にとっても、日本の漫画家や編集者に学びを提供できる機会というのは特別で、指導にはいつも以上に熱が入ります。時代を超え、国境を越えた漫画文化の交流が実現できる本プログラムは、参加者のみならず、ソウル ウェブトゥーン アカデミーにとっても価値あるものとして捉えられています。

実りあるプログラムにするためのマインドセット

本プログラムを最大限効果的にご活用頂くために、参加者の皆様には自ら積極的にアクションを起こして頂けるようお願いをしています。質問がある方は遠慮なく事前にお送り頂いて構いませんし、ご自身の作品を持参して講師に講評を依頼することも可能です。この場をいかに楽しみ、実践に活かせるかは、参加者お一人お一人のマインドセットによるところが大きいと感じています。是非、参加者同士の関係構築も含め、積極的に関わって頂けると大変嬉しく思います。

ソウル ウェブトゥーン アカデミーは、日本の出版社がWebtoon市場への参入を目指す上で、極めて貴重なリソースとなり得ます。現在、同アカデミーでは短期研修プログラムを定期的に実施しており、多くの参加者が現場の知識や実践的なスキルを身につけています。また、将来的には日本国内でのプログラム開催も予定されています。本プログラムを通じて韓国における最先端のノウハウを吸収し、Webtoonビジネスにご活用頂ければ幸いです。

07
インドネシアのアーティスト達とのプロジェクト

インドネシアでは、コミック、ゲーム、アニメーション等のクリエイティブ産業が著しい成長を遂げています。また、アメコミやWebtoonの制作現場を支えるインドネシア人カラーリストの技術力の高さは、国際的に高い評価を得てきました。

Culture Weaverは、インドネシアのコミック出版社兼制作スタジオ「KOSMIK」との業務提携により、漫画や縦スクロールコミックのカラーリングサービスを提供しています。

KOSMIKとの協業に至るまで

インドネシアでは、以前からDCやマーベルといったアメリカの大手出版社の業務委託を受けるスタジオが存在し、アメコミのカラーリングやイラスト制作において高い評価を得てきました。

Culture Weaverが協業するコミック出版社兼制作スタジオ「KOSMIK」は、アメコミ業界での経験をもとに、韓国のWebtoon業界との協業も積極的に行ってきました。CEOのSunny Ghoは、アーティストやプロデューサーとして15年以上の経験を持ち、MARVEL、DC等でカラーアーティストとしても活躍している人物です。

日本における漫画やWebtoonのカラーリング需要の高まりを受け、Culture Weaverが日本の窓口となり、KOSMIKのカラーリング及び仕上げ工程の受託サービスの展開をスタートさせました。

徹底した品質管理

KOSMIKのアーティスト達によるカラーリングやイラストのクオリティは、アメリカや韓国企業との協業実績に裏付けされるとおり、業界標準を超えるレベルにあると言えます。本サービスをご利用頂く最大のメリットは、やはりそのクオリティの高さです。「まずは1作品トライアルで」というご依頼から後続作品をお任せ頂く事例が相次ぎ、これまで多くのお客様に好評を頂いてきました。「安いから外注する」という発想ではなく、十分に満足頂けるクオリティだからこそ利用価値があると実感頂けるサービスを、今後も継続して提供してまいります。

柔軟なサポート体制 

契約に至るまでの日本での窓口はCulture Weaverが担当致しますので、プロジェクトや作品によって求められる細かなオーダーにも柔軟に対応可能です。作業開始後はKOSMICのスタッフと日本語で直接やり取り頂くことが基本となりますが、必要に応じていつでもCulture Weaverが間に入りサポートできる体制を整えています。予算に応じてお見積もりをご提示致しますので、是非一度お問い合わせ下さい。

インドネシアのアーティスト支援としての側面

本サービスの主たる目的は、日本の需要に応えた高品質なカラーリングサービスの提供ですが、副次的なメリットとして、インドネシアに提供できる価値についても考えてみたいと思います。

インドネシアには、カラーリストからアーティストを目指す人材が多く存在しますが、国内でアーティストデビューできるのはほんの一握りです。本サービスを通じて、インドネシアのアーティスト達が安定した収入を得るだけでなく、さらに腕を磨き、成長できる環境作りに貢献したいと考えます。また、将来的に、彼らの優れた作品を日本の出版社に紹介していく活躍の場を広げることも視野に入れています。

持続可能な成長に向けて

インドネシアとの協業の中で感銘を受けるのは、漫画への造詣の深さと日本の編集者をも唸らせる技術力の高さです。今後、日本国内の人材不足がより深刻化していくことが予想される中で、今のうちから信頼できる海外スタジオと関係を構築することは、経営戦略としても重要です。

カラーリング及び仕上げ工程の受託サービスについては、インドネシア以外にも、世界各地のスタジオとの連携を模索しています。Culture Weaverは、日本の出版業界の選択肢をさらに広げ、多様なニーズに応じたサービス提供を実現してまいります。

08
台湾政府が力をいれるクリエイター支援と台湾オリジナル漫画

近年、漫画業界から熱い視線を向けられているのが台湾のオリジナル漫画です。10年程前まで「海外漫画」と言えばアメコミかバンド・デシネだった日本の出版業界においても、台湾の漫画の認知度は格段に高まっています。

台湾政府が仕掛けた「CCC」と「超台湾」2019ニコニコ超会議

台湾における商業出版業界の成長は、官民が一体となって積み上げてきた成果だと言えるでしょう。2009年に創刊され、途中休刊期間を経てリニューアル復刊したコミック雑誌「CCC(Creative Comic Collection)創作集)は、中央研究院數位文化中心(中央研究院デジタル文化センター)と民間の出版社である蓋亞文化らの協働のもと誕生しました。CCCは新鋭漫画家と読者との橋渡し役であり、台湾オリジナル作品の創成期を支えてきた重要なプラットフォームです。

また、2019年には台湾文化部が「『超台湾』2019ニコニコ超会議」と銘打ったイベントを開催し台湾文化を発信すると共に、「CCC創作集」シリーズの漫画単行本の日本語版や、台湾のクリエイターによる出版物、グッズ等の販売を行い、知的財産としての台湾コミックスの認知度向上を後押ししました。

台湾の漫画業界を牽引する「蓋亞文化」の次なる狙い

台湾人作家によるオリジナル作品を最も多く出版し、台湾の漫画業界を牽引する存在として知られるのが「蓋亞文化(ガイヤ ウェンファ)」です。業界のさらなる成長を目指して蓋亞文化が取り組むのは、現地オリジナル作品の海外展開の促進、そして台湾における台湾オリジナル漫画読者層の拡大です。この課題解決に貢献するため、Culture Weaver内に蓋亞文化にとって初の海外拠点となる「蓋亞文化東京オフィス(蓋亞文化東京辦公室)」を設立する運びとなりました。

関連:蓋亞文化東京オフィスを社内に新設、台湾と日本の漫画産業を結ぶ新たな一歩として

より多くの台湾作品を日本へ

世界の漫画市場が拡大する中で、日本の国内作品だけでは供給が間に合わないという状況を受け、日本の出版社はこれまで多くの台湾オリジナル作品を翻訳出版してきました。今後、蓋亞文化東京オフィスでは、台湾で日本語版を制作し、電子コミックとして直接日本の読者に届けるというビジネスモデルの確立を目指していきます。従来のように日本の出版社を通すことなく、台湾側で作品の選定、翻訳を行うことで、台湾の漫画を直接輸出し、読者に届けることが可能になります。

日台同時連載の狙い

現状、台湾の漫画市場の95%を占めるのは日本の漫画です。台湾の若者が関心を寄せるのは、自国のオリジナル漫画ではなく日本の漫画。こうした状況を逆手に取って、蓋亞文化東京オフィスでは、日本の編集部と台湾の漫画家がタッグを組み、日本市場向けに最適化した漫画を「日本と台湾で同時連載する」というプロジェクトを推進しています。

これまで、台湾では高い画力を誇るクリエイターが多数活動している一方で、定期連載を支える漫画編集の環境が日本のように整備されていないという課題を抱えてきました。本プロジェクトを通じて、台湾の漫画家は日本の連載スピードに合わせ、日本の漫画市場に向けて創作するという、一連の経験を積むことが可能です。

同時出版された作品が「台湾の漫画家による日本式で作られた漫画」として台湾国内で広まることで、他の台湾オリジナル作品にも注目度が高まることが期待されます。

本プロジェクトは台湾政府との連携のもと実施しており、台湾政府主導のもと作家が選定されています。協業先となる日本の出版社の選定については蓋亞文化東京オフィスが窓口となりますので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。

蓋亞文化東京オフィスが繋ぐ新たな連携

いまや、日本の漫画業界は世界各国の漫画業界に大きな影響力を持っています。今後、台湾オリジナル作品が日本市場に進出するためには、双方の出版社間の連携が鍵となります。蓋亞文化東京オフィスが窓口として機能することで、台湾の出版社から日本の出版社へのアクセスを容易にし、連携の活性化に繋がることが期待されます。

また、台湾オリジナル作品にご関心のある日本の出版社にも、是非蓋亞文化東京オフィスを有効活用頂ければ幸いです。台湾オリジナル作品の保有数、出版数が最も多い蓋亞文化との連携は、新たな作品や作家の発掘、ビジネス機会の創出に繋がるでしょう。蓋亞文化東京オフィスは、台湾と日本の懸け橋として、様々なニーズに応えながら双方のエンターテイメント産業の成長に貢献してまいります。

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日本の漫画が愛されるフランスで生まれた新しいプラットフォームの可能性

日本の漫画が世界中で人気を博す中で深刻化しているのが、外国語に翻訳された海賊版コミックスによる経済的損失です。映像業界団体「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」の調査によると、2022年のオンラインで流通する日本コンテンツの海賊版の被害額は約2兆円にのぼり、その内出版の被害額は約8,000億円であると試算されています。

取り締まりだけではない、海賊版対策

海賊版対策のためには、取り締まりの他に、海賊版の代わりとなる正規版を迅速に利便性の高い方法で展開することが求められます。フランスのオンライン漫画プラットフォーム Mangas.ioは、フランス市場の大手漫画出版社と提携し、多種多様な漫画作品(正規電子版)をサブスクリプションモデルで提供しています。

サブスクリプションモデルの必要性

多くの日本の出版社にとって、サブスクリプションモデルは漫画の安売りに繋がる懸念材料として捉えられていました。しかし、無断翻訳された海賊版が溢れる海外市場において、海賊版サイトを完全に取り締まることはもはや不可能でしょう。何の施策もないまま闇雲に海賊版サイトを閉鎖しても、また次の海賊版サイトが現れるでしょうし、アクセスルートを絶たれた読者は漫画を読む場を失ってしまうのです。

「無料の海賊版でしか漫画を読んでこなかった」という読者に対し、「お金を払って正規の漫画を読む」という習慣づけをする意味でも、海外でのサブスクリプションモデルの導入は現実的であると言えます。

正規版流通の促進と海賊版対策という両輪をバランスよく回すためには、Mangas.ioのようなサブスクリプションモデルを導入した、オンラインプラットフォームが必要不可欠なのです。

Mangas.ioと日本企業間で起きていたミスコミュニケーション

当初、Mangas.ioのスタッフは、フランスから日本へ足を運び、日本の様々な漫画出版社や関係機関を訪問しながらフランス語による海賊版コミックスの深刻さを伝え、その解決策のひとつとしてMangas.ioの可能性を訴えてきました。しかし、ここでもビジネス文化の違いやコミュニケーションの掛け違いから、Mangas.ioと日本の出版社との間で、双方が考える課題や、とるべきアプローチの方法が共有できないという状況に陥っていたのです。

Mangas.ioの取り組みやサブスクリプションモデル導入の意義は、日本の出版業界でも理解が広がっていきましたが、うまく意思疎通ができないがために、Mangas.io側で日本の出版社側の懸念を理解することができず、具体的な協働の提案に至らないケースが散見されました。

Culture Weaverによる支援とMangas.ioの認知度の高まり

上記の状況を受け、日本・フランス双方にネットワークを有するCulture Weaverが日本の窓口となり、Mangas.ioが日本側の問題意識やニーズを的確に把握できるようコミュニケーション支援を実施しています。

Mangas.ioの認知度の高まりと共に、日本の漫画出版社からサービスへの好評や感謝のお言葉を頂くことも増え、時代のニーズに即したサービスとして評価を頂いています。既に多くの日本の出版社が、作品提供元としてMangas.ioのプラットフォームへ参画下さっていることは、日本の出版社の意識や業界全体の流れに大きな変化が生まれている証左であると感じます。

Culture Weaverでは、Mangas.ioと出版社、金融機関、政府機関など、各関係先とのコミュニケーション支援と併せて、Mangas.ioの日本における資金調達やオフィス設立のサポートといったコンサルテーションも行っています。

正規作品のさらなる普及に向けて

Mangas.ioは、今後さらに多くの作品を配信ラインナップに追加することを予定しており、日本の出版社との協業がより一層求められます。信頼できるプラットフォームによる正規電子版作品の普及は、海賊版の氾濫という深刻な課題を解決に導き、漫画業界の健全な成長に貢献する施策です。

Culture Weaverは日本側のニーズや懸念を丁寧に汲み取り、Mangas.ioをより魅力的なプラットフォームへと成長させるべく尽力してまいります。

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ネットワーキングイベントで広がる可能性

Culture Weaverは、各国におけるネットワーキングイベントの開催を通じて、漫画業界の国際的な連携を促進してきました。Culture Weaverが携わるネットワーキングイベントの一部についてご紹介します。

IMART

国際マンガ・アニメ祭Reiwa Toshima(IMART)」は、“マンガ・アニメの未来を作る” をテーマにして2019年にスタートした、日本初のボーダーレス・カンファレンスです。2024年11月には第5回となるIMART2024が開催され、関係者間のナレッジ共有を目的として、業界のイノベーターや実務家による基調講演やトークセッションが開催されました。

既に好評を得ていた同イベントですが、海外との連携をより強化し、国際イベントとしての価値を向上させたいというご依頼を受け、IMART2024ではCulture Weaverが中心となって、海外企業を招致してのビジネスショーケース及び国際商談会を開催致しました。

ビジネスショーケース

ビジネスショーケースでは、大統領選を経て転換期を迎えようとしているアメリカでのBL作品の動向と展望について、アメリカの出版社経営者を迎え、現地ならではの目線で語って頂きました。インターネット上の情報収集だけでは分からない、現場の生の声やリアルな情報が詰まった貴重な内容で、有益な情報収集、情報交換の場として大きな盛り上がりを見せていました。

国際商談会

IMART2024で初の試みとなった国際商談会でしたが、特に中小出版社の皆様から「画期的な企画だった」「ビジネスに繋がった」と喜びの声を多数頂きました。大手出版社に比べ、リソースが限られる中小出版社にとって、商談のための海外出張はコストが大きく、二の足を踏むケースが散見されてきました。日本にいながら複数の海外出版社との商談を可能にする国際商談会は、このような課題を持つ中小出版社にこそ積極的にご活用頂きたい場です。

国際商談会では、これまで未発掘だった多くの作品が海外からの高い評価を得て、その場でビジネスが成立するという場面が数多く生まれました。

Jakarta Creative Conference 2024

ジャカルタ・クリエイティブ・カンファレンス2024」(Jakarta Creative Conference 2024)は、ジャカルタ州政府ツーリズム及びクリエイティブ・エコノミー・オフィスが主催するビジネスマッチングイベントです。参加費無料、日本語通訳付きで、現地トップ企業とのビジネスマッチングやスタジオ訪問が含まれる本プログラムにおいて、Culture Weaverは、参加日本企業の募集及びコミュニケーション支援を担っています。

人口約2億7000万人の中に多くの若年層を抱えるインドネシアでは、キャラクタービジネスをはじめとするエンターテイメント業界が、これまでにない盛り上がりと勢いを見せています。ジャカルタ・クリエイティブ・カンファレンス2024では、Webtoon、キャラクタービジネス、ゲーム、映画等の分野で活躍する人材が集い、参加した日本企業と活発に交流する姿が見られました。

インドネシアは高い技術力を持つアーティストを数多く擁し、日本の漫画業界のパートナーとして大変魅力のある国です。しかし、日本の漫画ライセンスを持つ出版社が、インドネシアの出版最大手コンパス・グラメディア・グループに属する2社のみに限定されていることもあり、ライセンス許諾ビジネスの側面だけ見ていると、インドネシアの魅力はつい見過ごされてしまいます。

ジャカルタ・クリエイティブ・カンファレンス2024は、現場の熱量や勢いを直に感じられる貴重な場であると同時に、インドネシアが持つ可能性を十分に感じて頂ける絶好の機会です。

コンテンツIPマーケット2024

コンテンツIPマーケット2024は、「コンテンツIP、新しい拡張の機会」をテーマとした、コンテンツIPの映像化や商品化、海外進出のための協業等を目的としたイベントです。同イベントでは、韓国国内のWebtoon人材とWebtoonスタジオの人材マッチングが企画されていましたが、その中で「日本企業で働きたい」という韓国のWebtoon人材のニーズがあることが分かり、Culture Weaverが参加日本企業の募集支援を担いました。

Webtoon発祥の地である韓国でWebtoon教育を受け、現場経験を持つ人材は、日本企業にとって大きな戦力となるでしょう。オンラインとオフラインで開催されたコンテンツIPマーケット2024では、複数のビジネスマッチングミーティングが成立しました。

世界のマンガについてゆるーく考える会

「世界のマンガについてゆるーく考える会」は、海外漫画好きが集まる読書会イベントです。始まりは、バンド・デシネ研究者でフランス語翻訳者である原正人氏の「国やジャンルを問わず、海外漫画を紹介し合える場を作りたい」という想いと、Culture Weaverの「海外で発掘した魅力ある漫画を、日本のファンに届けたい」という想いが共鳴し合ったことがきっかけでした。

参加者の好みや関心は様々で、毎回バラエティに富んだ漫画談義が繰り広げられます。各自おすすめ作品をプロジェクタに映しながら2~3時間語り合うという、漫画好きにはたまらないひとときです。

最近では、台湾の漫画家を招いてご自身の作品紹介を頂いたり、海外漫画を自社で出版したい出版社の方のプロモーションの場として活用頂いたりと、様々なベクトルで広がりを見せているイベントです。

海外漫画の魅力のひとつは、読むことでその国の歴史、文化、人々の考え方、社会問題に触れ、まるで旅をしているような気分になれることです。もちろん、旅行のように現地の食べ物を味わったり、人と会話したりすることはできませんが、漫画は人々の日常生活における機微を感じることも、ファンタジーの世界で異国のモンスターと戦うことも可能にします。

「読者」としてその国を知ることは、時として「旅行者」以上に深い文化理解に繋がるでしょう。そんな経験を、本イベントを通じてより多くの人に楽しんで頂ければ幸いです。

セレンディピティが生み出す新たな可能性

イベント会場に足を運ぶと、思いがけない発見や気づきを得ることがあります。「検索ワード」を決めずに歩いた先に訪れる偶然の出会い、偶然知り得た情報が、将来のビジネスチャンスに繋がるかもしれません。

Culture Weaverがネットワーキングイベントを積極的に行う理由は、様々なプレイヤー同士が国境を越えて繋がり合うことで、漫画業界全体の更なる成長とイノベーションに繋がるという確信があるからです。

今後も、質の高いイベントを開催し、皆様のネットワーキングのお役に立てればと思います。会場でお会いできることを、楽しみにしております。